
伊勢丹新宿店の地下1階に、アラン・デュカスのビスケット専門店「ル・ビスキュイ・アラン・デュカス」が長期ポップアップとして来年の春ごろまで出店中です。その中で11月末までしか出会えないPOPUP限定商品「カレ・ピュール・ブール・プラリネ・ノワゼット」をご紹介します。
デュカス氏の“記憶の味”を軸にした特別な一枚。幾何学的なショコラがのるその姿はモダンでありながら、口にすればどこか懐かしい。素材、火入れ、香りの立ち上がり――細部まで“料理人の技”を感じる仕上がりでした。
カレ・ピュール・ブール・プラリネ・ノワゼットとは?

「カレ・ピュール・ブール・プラリネ・ノワゼット」は、アラン・デュカスが幼い頃、おばあさまが作ってくれたバター香るビスケットの味を再現した「ピュール・ブール」に、姉妹ブランド「ル・ショコラ・アラン・デュカス」のプラリネ入りボンボンショコラを重ねたもの。
価格は9枚入り・税込4,320円。伊勢丹新宿店限定で、2025年11月末までの販売予定です。ブランドの世界観を象徴する“幾何学デザインのショコラ”と、郷愁を感じるバターの香りがひとつの作品として融合しています。
パッケージ

ショッパーはブランドカラーのマスタードイエロー。手に取った瞬間、太陽の光をやわらかく反射するような色味が印象的で、遠くからでもル・ビスキュイ・アラン・デュカスだとわかります。

一方で、実際のパッケージはアルミ缶仕様。光沢を抑えた上品な質感で、天面にはマスタードイエローでブランドロゴが刻まれています。冷たい金属の手触りのなかに、職人の温度を感じるような美しさがあり、開ける前から“静かな緊張感”を纏っている。缶を指で軽く叩くと、かすかに響く金属音が心地よく、これから始まる体験への期待を高めてくれます。

中には、整然と並んだカレ型のビスキュイ。光を受けると幾何学デザインのショコラがわずかに艶めき、アルミ缶のクールな質感との対比が実に美しい。ギフトとしての完成度はもちろん、自分用としても開ける瞬間に心がほどけるようなデザインです。
開封

蓋を開けた途端、空気の層を押し上げるように立ちのぼるのは、芳醇なバターの香り。強く主張するわけではなく、まるで焼きたての生地が静かに呼吸しているようなやわらかさ。ビスキュイの表面には細かな焼き色が広がり、光の加減で金色に艶めく。触れるとザクッとした抵抗がありつつ、端を指で押すとわずかに沈む――この密度感が「火入れの見事さ」を物語っています。
実食

まずひと口。ザクッという音が、静かな余韻を伴って響きます。生地はバターの香りが厚く、焼きの香ばしさがすぐ後ろから追いかけてくる。咀嚼を重ねるうちに生地が細かくほどけていき、バターの甘みが空気と混ざり合いながら“香ばしさとほろ苦さ”に変わっていく――この変化が実に見事です。

上に重なるショコラの層が舌に触れると、カカオの香りが一気に立ち、奥からヘーゼルナッツのプラリネが滑り込んできます。ナッツの油分が焼き生地の香ばしさを包み込み、ショコラのほろ苦さとあいまって、味が一つに溶けていく。特にこの“合わさっていく感じ”がたまらなく、香り・舌ざわり・温度のすべてが同じ方向に流れていくのを感じます。
外側のショコラは、カカオ75%ショコラノワールと、カカオ45%のショコラオ・レの2種類です。甘さは控えめながら、輪郭がはっきりしていて、最後にふっと残るのはカカオとバターの余韻。それが短くも印象的に残り、口の中が静かに落ち着いていく感覚は、まるで余白のある音楽のようでした。
まとめ

このビスキュイのすばらしさは、派手さではなく“温度の設計”にあります。バター、ナッツ、ショコラ、それぞれの香りが主張しすぎず、ひとつの線でつながっている。焼きの香ばしさが心地よく、時間が経つほどに味わいが深まっていく。
多くのチョコを味わってきた中でも、この一枚は「菓子と記憶が共存している」ような特別さがありました。手土産としてはもちろん、静かな午後に一人で味わうのにもふさわしい。その余韻は長く、心の中にほのかに温かい光を残します。
詳細情報
ブランド:ル・ビスキュイ・アラン・デュカス
商品名:カレ・ピュール・ブール・プラリネ・ノワゼット(9枚入)
価格:4,320円(税込)
販売場所:伊勢丹新宿店 B1F「ル・ビスキュイ・アラン・デュカス」ポップアップストア
内容量:9枚入り









