çayca(サイカ)|代々木上原に佇む、静寂の中で味わうデザートコース体験

ミシュランガイド東京2026で「セレクテッド」に選ばれたデザート専門店、çayca(サイカ)。代々木上原の住宅街にひっそりと佇むその店は、まるで時間がゆるやかに流れるような空間です。白湯から始まるコースは、五感を整え、心を静めながら甘美な世界へと導きます。

コース体験の記録

一杯の白湯から始まる静かな序章

最初に供されるのは、温かな白湯。この一杯が、デザートという“作品”に向き合うための心の準備を整えます。

一皿目:グリオットチェリーのマカロン

薄い皮がわずかに震えるほど繊細なマカロン。

かじると、グリオットチェリーの酸味とガナッシュの甘みが重なり、奥行きある味わいに。重たさを感じさせない、計算された美しさをもつ一品です。味わいも作りもテイクアウトではなく、デザートコースのために作られたであろう設計。

二皿目:静かに点てられる抹茶

茶筅の音が響く空間。所作が美しかった。薄く泡立つ抹茶を口に含むと、旨みとやわらかな苦味が静かに広がり、心が洗われるよう。

三皿目:リオレを軸にしたパフェ

バニラとグランマルニエの香り、酒粕アイスの酸味、ほうずきの甘酸っぱさが層をなし、軽やかな米チップが食感のアクセントに。

香りの設計まで丁寧に組まれた、構成美を感じる一皿です。

四皿目:黒いちじくとピュイ・ダムール

小木ビオレ(黒いちじく)の甘み、キャラメリゼの香ばしさ、そして食べられる薔薇が生み出す余韻。香りまでもデザインされたような完成度でした。

箸休め

お口直しのソルベ。

五皿目:搾りたて和栗のモンブラン

搾りたての瞬間、立ちのぼる栗の香りが心を掴みます。

カシスソースで引き締め、チョコレートソルベとバンデピスの香ばしさが重なり、余韻は長く、静かで、優雅。

終章:紅茶と茶菓子、そしてお土産のマドレーヌ

最後は紅茶と茶菓子で締めくくられます。

手渡される焼きたてのマドレーヌは、温もりごと持ち帰るような幸福の象徴でした。

まとめ

çayca(サイカ)のデザートコースは、味や香りだけでなく「間」と「余白」までをデザインした芸術。華やかさではなく、静けさの中に宿る豊かさを感じる時間でした。一皿ごとに温度と香りが移ろい、食べ終える頃には心の輪郭がやわらかくなっている——まさに、デザートで心を整える体験です。

店舗概要

・店名:çayca(サイカ)
・住所:東京都渋谷区西原3-22-15 3F
・エリア:代々木上原(駅から徒歩5分)
・受賞:ミシュランガイド東京2026「セレクテッド」
・提供スタイル:デザートコース(要予約)