
今回は板チョコレートのテイスティングについて学ぼうの回です。普段自分自身でやっていることを初心者向けに落とし込んで書きました。
チョコレートのテイスティングは美味しく食べるための手段ではない
チョコレートのおいしさを楽しむだけなら、何も考えずに口の中で溶かして「あぁ〜おいしい、しあわせ〜」で良いと思います。では何のためにテイスティングをおこなうのか?
目的は「チョコレートのフレーバー(味・香り)情報を多く得るため」です。
板チョコレートは多くの香味成分(情報)を含みます。1000種類以上もあるとされます。多彩な香味成分がワインとの共通点となります。ソムリエのように自分の舌で個性を見抜いたり、伝えられたら、チョコレートの楽しみ方の幅が広がりますね。
ここから先はチョコレートのテイスティング方法を解説します。
チョコレートの選び方
まず基本はダークチョコレート(カカオ分60%〜80%のものが好ましい)で楽しみます。
種類が多すぎると舌が疲れてきて、正確に特徴を追えなくなってきます。一度に楽しむ量は多くても6種類までにしましょう。1枚でも大丈夫です。
初めての方が数種類食べ比べする場合にアドバイスがあります。情報は散らかっているよりも、何を比較したいのか目的を明確にした方が有意義です。
下の2パターンのチョコレートの選定は参考程度に。
①異なるお店で、同じカカオの産地の板チョコレート
目的:カカオの産地の特徴を感じる。作り手ごとの違いを感じる。
②同じお店で、カカオの産地が異なる板チョコレート
目的:お店の特徴を感じる。産地ごとの違いを感じる。
水の選び方
テイスティングに必ず必要なものがあります。
「水」です。
テイスティングの合間に口の中をリセットするために使います。
繊細なフレーバーの特徴を感じられるようにするために「軟水」を選びましょう。逆に硬水を飲んだ後にチョコレートを含むと、軟水よりも香りの広がりが弱くなります。気になる方は軟水と硬水で実験してみてください。←マジで違いがあります
また、水を体温程度のぬるま湯にしておくのがオススメです。チョコレートは口の中で溶けることでフレーバーが広がります。口の中が暖かい状態のほうが、スムーズに溶けてくれますね。
テイスティングの準備
空間を整える
部屋の環境を静かにすることが大切です。窓を閉めて外の騒音をシャットアウト、テレビ、音楽を消して無音状態に。すべてはチョコレートに向き合うために。
部屋の温度は18℃〜22℃にしておくのがマスト。
気分を整える
リラックスした状態でテイスティングに行うほうが良い結果を出せます。逆に心が沈んでいた場合は、テイスティングではなく、気分を上げるためにチョコレートを頂きましょう。
チョコレートを常温に戻す
チョコレートを食べる量だけお皿に並べましょう。冷蔵庫で保管されている方は、常温で15分ほど放置。
テイスティングの楽しみ方
テイスティングは味の鑑定をするという意味ですが、口だけでなく五感をフル活用することで、チョコレートへの理解が得られます。
目で楽しむ
パッケージ
カカオ分は何%で、どんなチョコレートなのか?など、作り手のこだわりが書かれていたら頭の中にインプットしておきましょう。パッケージのデザインからもストーリーを想像できる場合もあります。
チョコレート
表面が白くブルームが起こってないか?ちゃんと管理されたチョコレートなのか目でチェック。カカオ分の割に黒い(苦いかも)、カカオ分の割に明るい(苦味が少なく、酸味があるかも)など目でも読み取れるようになります。
鼻で楽しむ
テイスティングの半分は嗅覚から得られる情報といっても過言ではありません。複数枚並べたチョコレートを鼻に近づけて違いを感じましょう。香りの強さや特徴は?感じたことをそのままメモするものアリです。言葉にするのが難しくても、何度もチャレンジしてくと自然と香りを読み取れるようになります。
例)鼻に刺さるような香りがあるなぁ→鋭い酸味があるチョコかな?
例)スモーキーな香りがある→現地でカカオ豆を熱風乾燥してるのかな?
例)苦味の香りしか感じない→アフリカ産のカカオかな
嗅覚は毎日使う味覚と異なり、意識しないと使わない方も多いかと思います。使わないと退化してしまいます。嗜好品を嗜む時に香りを嗅ぐクセをつけておけば、その分味覚よりも伸び代もあるかと思います。嗅覚も訓練で向上します。初心者は嗅いで感じた香りと、実際に味わった時の香りの共通点からインプットしていきましょう。
あと嗅覚には2種類の使われ方があります。先ほどの香りを自分で嗅ぎにいくパターン。もう一つは口に通ずる鼻腔から感じるパターンです。っということで、次に続きます。口に入れますよ〜
味わってみよう

2、3回噛んでゆっくり溶かす
チョコレートの厚みがあるものや、薄いものまで作り手によって形状が様々です。3mm〜8mmくらいと幅広い。どのような形状のチョコレートがきても厚み関係なしに必ず2、3回噛んでからゆっくり溶かしましょう。(←ここ大事)
理由は2つ。チョコレートをスムーズに溶かすため。もう一つは噛んだことによって読み取れる情報が多いからです。硬いか?柔らかいか?しっとりか?ドライか?つるつる?ザラザラ?テンパリング が綺麗に決まってるか。など
次に口どけはどうですか?なめらか?それともざらつく?、溶けるスピードはスムーズ?それともゆるやか?
フレーバー(味わい・香り)を感じる
フレーバーを感じましょう。口を閉じて舌でチョコレートの味を感じて、鼻から息をゆっくり吐いて→吸って→吐くと香りを楽しめます。
どんなフレーバーを感じたか。ノートに書き出しましょう。他の食べ物に例えられないか?初心者はナッツ、フルーツ、スパイス、ハーブなど大雑把でかまいません。慣れてきたらもっと具体的にどんなナッツか?アーモンド、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ。
苦味はどうか?鋭い、まろやか、どっしり?、質感は後に残るか?それとも心地よいか?
何が正解か、間違っているかは気にする必要がありません。あえて言うなら、あなたが感じたこと全てが正解です。
初心者はこのくらいで十分です。テイスティングは何度も数をこなして、経験値を増やすことで上達します。闇雲にチョコレートを味わうのではなく、手順を踏んで、集中してチョコレートと向き合うことが上達するための鍵です。
初心者でも、少しだけ深く楽しみたい方へ

少しだけ深くテイスティングを楽しみたい方へ。フレーバーの楽しみ方をちょこっとだけ深く。
チョコレートは体温と共に溶けてフレーバーが広がる不思議な食べ物です。そのためフレーバーが前半(口の中に入れて舌に触れた瞬間)、中盤(溶け出してから、完全に溶け終わるまで)、終盤(飲み込んだあと)でフレーバーが変化します。
感じたフレーバーを前半・中盤・終盤の3段階に分けてノートに書き出してみてください。
優れたチョコレートであればあるほど、3段階の変化がしっかりで、終盤の余韻が長時間感じられます。特徴を深く知れる、品質を見極めることができるのがテイスティングを行う醍醐味です。
チョコレートを単においしく食べたいだけの方は、テイスティングなんて面倒なことをやらずに、パクパクいきましょう。私も単に美味しく食べたいだけのときは板チョコを思いっきりかぶりつきます。テイスティングはチョコレートの楽しみ方の1つに過ぎませんから。
この記事を読んでテイスティングについて、何かご質問があれば、私のツイッターに@pyonkichi11011 を付けてご連絡ください。