チョコレート探検家のチョコレートくんです。
BONNAT(ボナ)は、フランスのアルプスの近くにあるヴォワロン(Voiron)という小さな町で家族経営を続けている老舗のメゾンです。
カカオ豆の仕入れ・選別・焙抄からコンチングまでもチョコレート作りの全ての工程を自社のアトリエで行うビーントゥバー製法。ステファン・ボナ氏が自らカカオ農園に足を運び、産地ごとの個性を楽しめるラインナップでチョコレートを作られています。そのシングルオリジン(単一原産地)の概念は、1904年に世界で初めて手がけたブランドとして知られています。
チョコレートの魅力はそのバリエーションの豊富さ。シングルオリジンのカカオ豆8種類からスタートしたタブレットは、現在ではフレーバーものも含めて40種類以上のバリエーションを誇ります。
目次
アポテクイル
ペルー産「Porcelana/ポルセラーナ」のカカオを使用。
ポルセラーナは、中国の陶磁器を思わせるようにカカオポッドの表面のつるりとした質感、さらにカカオ豆の内部が白みを帯びていることから、Porcelana(磁器=スペイン語)と呼ばれています。クリオロ種の中でも大変希少価値の高い品種。
本来、ポルセラーナのカカオはベネズエラの一部のカカオ農園でしか生産されないイメージがありましたが、最近ではペルーのものもよく見かけます。
カカオ分は75%。原材料はカカオマス、カカオバター、砂糖のみ。超シンプルの原材料でカカオの風味をダイレクトに味わえるのがボナの魅力の1つ!
上質感溢れる甘み、カシューナッツのような香り、中盤からフルーティーな酸味も込み上げてきます。そして苦みをほとんど感じずに、クリーミーでまろやかな印象。
さすが、ポルセラーナを使っているだけあって素晴らしいカカオのチョコレート。
カカオ・レアル・デル・ソコヌスコ
メキシコ南部、かつてソコヌスコと呼ばれていた産地で採れた幻のカカオ。古代アステカ帝国を支配していた王”モンテスマ”も特に好んでこのカカオのチョコレートドリンクを飲んだとされています。
16世紀にスペインがアステカ帝国を侵略した後にも、幻のカカオがスペイン王家に収められ、スペイン語で”王家のもの”という意味の「レアル」の称号が与えられました。
一度は絶滅した幻のカカオですが、カカオサンパカなども取り込んでいるこのカカオを蘇らせる農業開発プロジョクトで復活。カカオサンパカだけのスペシャリテのはずが、なぜボナにカカオが渡っているのか不明。サンパカからカカオを買っているのでしょうか。
特徴が少なく安心感を与える味わい。ナッツのようなアロマが前面に現れ、クリオロ種らしく極端に苦みが少なくてまろやか。カカオ本来の甘みが口いっぱいに現れる。
チュアオ
チュアオとは、ベネズエラの北の沿岸に位置する小さな村の名前です。
チュアオ村のカカオは、最高品質で希少価値が高いことから「伝説のカカオ」と呼ばれ、大昔ヨーロッパにカカオ豆が渡ったばかりの時代にスペイン王室に献上されたと言われています。
山と海に囲まれた辺境に村が位置していて、今までの他の品種のカカオと交雑しない特別な環境でカカオの樹が育ってきたため、チュアオ村独自の珍しいカカオ豆が採れるのです。
口に入れた直後は、酸味がほどんどなく風味も弱めで穏やかな印象です。穏やかなカカオの苦み。
そして中盤からカカオの風味が一気に豊かになっていきます。微かにナッツのようなロースト感を感じ始め、ラズベリーのようなフルーティーな酸味広がります。
終盤で感じる雑味が全くないハチミツやバナナを思わせるようなカカオの香り。とても心地よいです。余韻もとても長くチョコレートの幸せが続きます。
次は違うチュアオのご紹介!!
チュアオ ヴィレッジ
チュアオヴィレッジ、「チュアオ」よりもさらに上位クラスの位置づけのようです。普通のチュアオですら、最高峰と言われているカカオなのに、さらに上の位置づけにされているチュアオビレッジがどのように素晴らしい香りを放つのか?
チュアオ村でもさらに特別な農園で採取されたものなのか?その辺は不明です。
香りが華やかなタイプではありませんが、カカオの上質感がパンパない。音のない部屋でゆっくりと心を落ち着かせながら集中して食べたくなるチョコレート。
苦みをほとんど感じさせなく、序盤の弱く落ち着いた香りに、中盤からはフルーティーな甘さと酸味がいっきに広がります。そして、なめらかに溶けていくと共に広がるクリームのようなまろやかさ。なんと言いますが、この無駄のない感じ。
いつまでも口の中にとどめておきたくなる上質なカカオ。
通常のチュアオと、ヴィレッジを比較してみました。
チョコレートの色の見た目はほとんど変わらないかと思います。若干、ヴィレッジの方は明るい茶色を帯びているくらい。
ヴィレッジの方がクリームのようなまろやかさが強調されており、さらに甘さと酸味が力強い。ノーマルチュアオのぐっとくる苦みのインパクトも特徴的。
この味わいの差はどこから出てくるのか気になるところ。
キューバ
キューバ産カカオを使用。
序盤はボナらしく香りの開きが大人しめ。中盤以降からパッションフルーツを思わせる爽やかな香り、サトウキビを思わせる甘みもしっかりと感じられて複雑なアロマ。
ポルセラーナ
こちらのチョコレートは、2013年4月のイギリス・ロンドンで開催されたInternational Chocolate Awardsのヨーロッパ部門にて銀賞を受賞。貴重なベネズエラ産のクリオロ種の年間1トンしか収穫されない希少なポルセラーナのカカオを使用しています。
カシューナッツを思わせる香りとハチミツのような甘みが広がり、次に爽やかな苦みとともにベリーを思わせる酸味がやってきます。
流石クリオロ種というだけあって苦みが少ない素晴らしいチョコレート。なめらかな口どけで溶けていき、まるで時間がゆったりと流れるような優しい風味です。
タブレット ジャヴァ
ジャワ島産のカカオ豆を使用したミルクチョコレートです。
このチョコレートの面白いところは、ミルクチョコレートなのになんと!カカオ分が65%!こんなカカオ分が高いミルクチョコレート珍しいです。ミルクチョコレートで高いカカオ分と言ってもせいぜい50%くらいですので。
とても綺麗なツヤですね。
まろやかでクリーミー。カカオの存在感が強いのに、ちゃんと甘みのあるミルクチョコレートです。
ジャワ島の独特の薫製させたようなカカオのスモーキー感は、ミルクによって濃厚なクリームチーズのような味わいにまとまっています。ほんのりフローラルな香りもします。そして、酸味は落ち着いていてフルーティー感がやんわりと全体を包み込む。
余韻も長く、濃厚なミルクとカカオのコクがバランス良く残ります。
さすが、カカオ分65%のミルクチョコレート。ここまで上質なカカオの風味を楽しめるミルクチョコレートは、他にはないので新鮮です。
コート ディヴォワール
世界一のカカオ生産量を誇るコートジボワール産のカカオ豆を使用したチョコレートです。
アフリカ系のカカオといえば、アロマが弱めなイメージがありますが、それを感じさせない完成度の高さです。
ウッディやフローラルな香りがしっかりしてます。
マダガスカル
マダガスカル産のカカオ豆を使用したタブレットです。
厚みがあるのに口どけがスムーズで、口に入れた瞬間のアロマはボナらしく弱め。
中盤からラベスリーのアロマを感じ、クリームのようなまろやかさ。酸味がほのかで、上質な甘みが特徴です。
マダガスカル100%クリオロ
今回は先ほどと同じマダガスカル産でも、カカオの最高品種クリオロ種カカオのみを使用したさらに上位ラインのチョコレートです。
通常のタブレットマダガスカルと比較すると、同じカカオ分なのにタブレットの色がかなり明るめ。クリオロ種カカオは苦み成分であるポリフェノールの含有量が少ないので、カカオニブも茶色く、色が明るいものが多いのです。
一口含んだだけでインパクトの段階からぶわっとアロマが広がります。メイプルシロップのような甘みと、様々な種類のフルーツが混じり合ったような複雑な香り。雑味は一切なく、まろやかさが最後まで続きます。これはまるで、フルーツそのもののような上質感溢れるタブレット。
エクアドル
エクアドル産カカオを使用したカカオ分75%チョコレートバーです。
インパクトから花やハチミツのような甘み。そして、苦みが少なめでチーズやクリームのようなまろやかさ。アロマは弱めですが、いずれにせよ上質です。
厚めのタブレットなのに、口どけがスムーズです。優しくスッキリとした甘みに偏った余韻が長く続きます。
プエルトカベーロ
ベネズエラ産のカカオを使用したカカオ分75%のタブレットです。
ボナのラインナップでは、ベネズエラ産のカカオものが多いので、こちらはどのような個性があるのか、、、
焦がしキャラメルのような香り。そして柑橘の酸味が爽やかで、余韻にも長時間口の中に酸味が残ります。
皮ごとかじったような若干苦みのある酸味です。
ハシエンダエルロザリオ
こちらは1994年に世界で初「限定農園」という概念を取り入れた特定の農園だけのカカオのみで製造されたチョコレート。ベネズエラの”ロザリオ農園”のカカオを使用しています。
上質な甘みにフローラルな香り、酸味はおだやか。香りは弱めですが、親しみやすく美味しくいただけます。
セイロン
インドの南のセイロン島のカカオを使用したチョコレートです。
インパクトで一番始めに感じるのは力強い甘み。途中から、ほのかにハーブや紅茶の葉のような香り、さらには柑橘を思わせるような酸味が時間が立つと共に込み上げてきます。
最終的に余韻は、爽やかな甘みと酸味が口の中に残ります。口どけも良くて満足度が高いチョコレートでした。
アスファー
カカオ分64%のハイカカオミルクチョコレートです。
いつも見慣れているレンガ型のタブレットも、ミルク色になると新鮮です。
食前はスモーキーな香り。
ミルクのコクも感じつつカカオの苦みもしっかりと感じる不思議な感覚。チーズのような香りが広がり、後から柑橘系の甘みと酸味がしっかりと現れる。
同じくカカオ分65%のジャヴァとスモーキーな感じとか風味の特徴が似てます。
ジュリアナ
ジュリアナは、ブラジル産カカオを使用しています。しかも国際的に厳しい認定を受けた農園から収穫されたカカオ。
初めは落ち着いた印象ですが、爽やかな酸味が力強く込み上げてきて舌を刺激します。苦みは少なく甘みをしっかりと感じる。そして、クリームのようなまろやかさの中にブラッドオレンジやレーズンの香りが複雑に絡み合う。
アイボリー
ボナのラインナップ唯一のプレーンホワイトチョコレートなのです。上質なカカオのイメージで強いボナならではの個性がどう映るのか?
原材料はカカオバター、砂糖、脱脂粉乳のみです。ホワイトチョコレートでも原材料のシンプルさは健在です。
いつも見慣れているブラックなレンガの型も、ホワイトになると違和感を覚えます(笑)
厚みのあるタブレットを口に含むと、力強いミルキー感とマイルドな甘さで包み込まれます。凄く上品に仕上がったチョコレートです。
ボナのラインナップをいくつか既にテイスティングされた方に、いつもと全く別の顔を持つこちらのホワイトチョコレートを是非試して欲しいです。
サーフィン(130周年タブレット)
1884年創業の「ボナ」が130周年を迎えたということで記念して作られた新作のチョコレート。2015年の新宿のサロンデュショコラで購入したものです。パッケージもいつもと雰囲気が異なりますね〜どうやら創業当時と同じパッケージとのこと。
130年記念ということでタブレットのカカオがどんな内容なのかというと、創業当時に使用していた5カ国の原産国のカカオ豆をブレンドしています。コートジボワール、ブラジル、ペルー、メキシコ、ベネズエラの5カ国です。
あともう1点!通常のラインナップと異なるところはカカオ分が65%なところでしょうか。ボナのハイカカオチョコレートのラインナップがほぼ全て75%ですが、今回は創業当時の65%なのですよ。
苦みが少なくマイルドでクリームのようなまろやかさ。そして、甘みの中にフルーツ感がほんのりと。
カカオの風味に落ち着きがあり、とても上品な味わいでラストのスッキリ感が印象的。
SURFINには変化や個性を求めるのではなくボナのチョコレートが好きで、歴史を感じる為のチョコレートなのだと思います。
ロスコロラドス
エクアドルの部族“ツァチラス族”が収穫したカカオ豆で作られたチョコレート。ツァチラス族は体と髪を赤や青に塗り、自分たちを「ロス・コロラドス(色のついた者達)」と称しているそうです。パッケージの目立つブルーがまさにロスコロラドスって感じですね。
人的に整備された農園ではなく天然の環境で育ったカカオをそのまま仕入れてます。
とても爽やかなフルーツを思わせる香り!!!!
カカオの甘い香りがぐっとくる!いちご、マスカットなどの甘く優しいフルーツ!さらに奥底にトウモロコシを思わせる香りもふわっと広がります。酸味は穏やかで余韻にカカオの風味と共にほんのり舌に残る程度。さらにボナ特有のまろやかで上質な印象も持ち合わせています。
タブレットカオリ
日本語の「香り/Parfum」から商品名がきたそうです。
昨年、ロンドンで開催されたInternational Chocolate Awards 2014(インターナショナル・チョコレート・アワーズ)のヨーロッパ部門で金賞を受賞した商品。ブラジル産のカカオのみを使ったシングルオリジンビーンのチョコレートです。
序盤は穏やかな香り。そしてしばらく立つと酸味が現れて柑橘を思わせる爽やかな風味がやってきます。そして、後味はコーヒーを思わる深堀りされた味わいへと変化する。
さらに次の同じくブラジル産カカオ「マラニョン」と比較すると面白い!
マラニョン
世界最高だと言われていたブラジル産のカカオ“マラニョン”は過去に絶滅したとされてます。
1990年代初頭まで、ブラジルは世界で2位のカカオ生産国でした。しかしブラジルを襲ったカカオの病気「※ヴァソーラ デ ブルーシャ(魔女のほうき)」によってカカオの樹の大半を失います。そして、回復した現在ブラジルのカカオ生産量は世界6位(コートジボワール、ガーナ、インドネシア、ナイジェリア、カメルーン、ブラジルの順)まで落ち込んでしまったのです。
※ヴァソーラ デ ブルーシャ(魔女のほうき) 日本では天狗巣病と呼ばれている。カビの一種で胞子によって感染する。枝がまるでほうきのように小枝を広げ生えてしまい、カカオポッドが育たなくなる病気。
農家とボナによってマラニョンこのブラジルを襲ったカカオの病気の影響でマラニョンのカカオも絶滅したわけですが、2012年偶然生き残っていた30本の苗木をボナの契約農家が発見し蘇らせ、ステファン・ボナ氏によってマラニョンのチョコレートが復活したのです。
ボナ特有のまろやかな印象も保ちつつ、カカオの濃厚な香りが押し寄せてきます。カカオに力強さがあるのに同時に柔らかさもある。中盤から南国果実を思わせる爽やかな香りと酸味も現れ、食べ終わった後には長いカカオの余韻が待ってます。
もし、カカオの品質に注目される世の中ではなかったら、マラニョンは完璧に絶滅したのかもしれない。30本の木は普通のブラジル産カカオとして無視されていたのかもしれない。様々な奇跡や想いがあって復活したのですね。
ピウラブランコ
ペルー北部のピウラ地方でしか採れない希少種「ホワイトカカオ」の豆を使用。ポッド(実)の中のカカオ豆が白いことからそう呼ばれています。豆は通常、紫色でポリフェノールの含有量が高いのですが、それに対してホワイトカカオはポリフェノール含有量が低く苦みが少なく、フレーバーが華やかです。
甘さをしっかりと感じられ流石ホワイトカカオ!
徐々に酸味が強くなり香りが開き出す。クルミのようなナッティーな香り、オレンジやグレープフルーツを思わせる爽やかな香りが力強かったりと複雑です。
スラバヤ 65%
カカオ分65%のミルクチョコレート。インドネシアの都市スラバヤ産のカカオ豆を使用。
まろやかなカカオの香りやミルクのコク。溶かしてゆくと奥底に爽やか系の南国フルーツの風味を感じ取った。酸味もしっかりしているタイプであり、中盤からラストにかけてスパイシーな刺激も広がるのも特徴。
そして、ボナ特有の口どけの素晴らしさは、全てのラインに共通しています。
チーズのようなフレーバーがベースの「アスファ」や「ジャヴァ」とは全く顔をみせます。は親しみやすく、日常のシーンに取り入れたミルクチョコレートです。
カカオクスコ
ペルーの地域に現存する最も古い品種のカカオ豆で作られたシングルオリジンチョコレートです。
マスカットや洋梨を思わせる甘さがたっぷりな爽やかなフルーツ。まろやかなクリームに包まれながら、苦みや酸味も表情を見せ、複雑な風味を放つカカオです。
フルーツの風味が伸びて儚く消え、ラストはココアを飲み終わったような長い余韻。
ペルー最古のカカオは、ホワイトカカオに負けないくらい優秀な素晴らしいチョコレートです。
タブレットリバリオ
今回豊富なタブレットのラインナップからご紹介するのは「タブレットリバリオ」です。ブラジル・バリア州の北部のLibânio農園カカオによって作られたカカオ分75%のバー。
クリームベースのマイルドで丸みを帯びた味わい。
まず、口へ含んだ瞬間に瑞瑞しいフルーツのクリアでスッキリとした香り。緩やかに風味が切り替わり、海苔や樹木のような自然を思わせる香りが重なります。
終わりに
ボナの全てに共通して言えるのが、カカオバターの含有量が多く、食べやすいところです。オイリーで綺麗な口どけ、そして豊富な産地別ラインナップによるカカオの個性を是非楽しんでみてはいかがでしょうか。
ビーントゥバー初心者の方にオススメしたいチョコレートブランドです。
ブランド名 | BONNAT(ボナ) |
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公式ページ | http://bonnat1884.jp |
購入先 | アンドマーケット |
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